健診でいつも血圧が高いひと
ふだん家で自動血圧計を使っていて、いつも血圧が高いひと
両親・祖父母に高血圧の人がいるひと
すでに降圧剤を飲んでいるひと
美食家のひと
肥満のひと
この記事はこんなひとに役に立ちます。
目次
血圧には2種類あります
血圧では、簡単に言うと「上の血圧」と「下の血圧」」が必ずペアで計られます。正常の皆さんの血圧は、上120/下60といった感じです。
正式には、この数値に単位がくっついています。が、まあ、ここでは要らないです。
高血圧症と言われてしまうのは、(上)140以上 /(下)90以上が続くひとです。
「わっ!昨日の血圧測定で、それ以上だった!私、高血圧症なの?」いやいや、慌てなくていいです。
血圧は、瞬間瞬間変動しています。交感神経の緊張具合でどんどん変化します。
逆に生活の状況によって微細に血圧変動するからこそ、私たちは、人生100年を迎えることが出来ているのです。
さてその時、どんな状態で測定しましたか?昼休み休憩中の会社健診で、ばたばた走って駆け込み測定とかではなかったでしょうか?
何かでイライラしていたら、頭痛がしてきたとしましょう。そんなタイミングで血圧を測定すると、血圧が高い数値になっていたりします。
こんな時は、「頭痛が先か、血圧が先か?」の問題が出てきます。
多くの患者さんたちは、「血圧が上がったから、頭痛がしたのだ!」と思い込み、クリニックへ走り込んで来ます。
ですが、ほとんどの場合は、頭痛がしている状態で血圧を測定したので、血圧が結果的に高くなっていることが多いのです。
この場合は、頭痛薬で事足(ことた)ります。分かりやすく言うと、とても高い血圧が測定されても、嘔吐や激しい頭痛(ワッー!と叫びたくなるような頭痛)でない場合は、いったん測定をやめて落ち着いて下さい。
血圧測定法にも2種類あります
血圧測定法は、私が正式に行っている「聴診器法」と、自動血圧計の「センサー法」があります。
これについては、正式な名前がありますが、混乱するので、ここではこのように2つあると理解して下さい。
聴診器法は、血流が再開するときの音を聞いています。「再開」? そうです。
皆さん血圧測定の時には、グレーのバンドのようなものを腕に巻きますよね。あれに空気が次第に入って行って、中の風船が膨らんでいきます。
すると腕の血管(動脈)が圧迫されて、ついには、血液の流れが一旦(いったん)止まります。
それから、バンド中の風船の空気を抜いて行くと、バンドがやや緩くなって、血液が再び指先に向けて流れ出すのです。
このとき、「どっ!」と聴診器に音が始まります。これを私は、聞き取っているのです。
これが(上)の血圧です。それからは、「どっ・どっ・どっ!」と音が続きます。そ
して、バンド中の風船の圧がさらに、ゆる~くなると、「どっ!」の音が突然消えます。これが、(下)の血圧の数値になるのです。
ほんのわずかな間で、私はこんな事をしているのです。
一方、自動血圧計は、この腕に巻くバンドの中に「血流センサー」がついています。そのセンサーで血流の程度を感知しているのです。
実は、ここに問題があります。この腕に巻くバンドの中の「優秀なセンサーくん」は、腕にセットし測定を開始した段階で、「この人の血流が強いかどうか?激しく流れているかどうか?」を感知してしまうのです。
「おっ!このひとの血流は強いぞ!こりゃあ、血圧が高そうだ!なら、バンドの中の風船をもっと膨らませなくちゃ!」ってやっちゃうのです。
これが、皆さんご存じの、「なぜか、自分の時は、腕に巻くバンドが、ぎゅうぎゅう締め付けてくる」の現象です。
やや血流が多いひとには、必ずセンサーくんがやっちゃう仕業(しわざ)なのです。
あんなに強い圧(220超)で腕を締め付けられてしまうと、動脈もこの締め付けで刺激され、普通の血圧でなくなってしまうのです。
これらの現象を、私は患者さんには、簡単に「あんなに、ぎゅうぎゅうに締め付けられたら血管もびっくりしちゃいますよね(笑)」と話し理解してもらっています。
「こいつは壊れてる!おかしい、こんなはずはない!」と怒って、奥さんに機械を渡して計らせてみると、「あれあれ?正常」となります。
奥さんの場合は、測定時、バンドの中の風船の締め付けが緩(ゆる)いのです。
ですから、自動血圧計は、「血圧が高いひとにはより高く、正常のひとはより正常に測る!」ということが、残念ながらよくあることなのです。
「血圧計が壊れているのでは、ありません!」
おわかり頂けたでしょうか?
高血圧の数値について
高血圧症とされてしまう数値は、上が140以上、下が90以上です。1回の測定値が越えていたとしても、全然かまいません。
2回測定してみて数値を平均(足して2で割る)してみたり、毎日測定してみてノートに数値を書いたり、折れ線グラフを描くのもいいですね。
そこでですが、もし、数値が高い時は、まずしばらくの間、下の5項目をやってみて下さい。
それでも高い時には、その記録をお持ちになって、クリニックを受診して下さい。
この記録が診察の時に、とても参考になります。きれいに書いてある必要はありません。その几帳面さが血圧を上げます(笑)
日頃の測定が大切、もし高かったらまずやること
①減塩に努める 減塩は、家庭で料理をして頂く方にお願いしましょう。
自分でやることは、醤油(しょうゆ)を掛けすぎないことが重要です。コツとしては、醤油は付け皿で使うことです。
少量の醤油を小皿に容れて、例えば刺身は箸でつかみ、角だけを醤油に浸ける感じです。
ショウガやわさびなどの薬味で引き立てましょう。
さらなるスゴ技は、100円均一の小さなスプレーボトルに醤油を入れて、掛けたい食品にスプレーしましょう。
醤油量をぐっと減らしつつ、味は感じることができるので良い方法です。
②運動をする 運動、特に有酸素運動が良く、下肢を動かすウォーキングは最適です。なぜかと言いますと、ふくらはぎがよく動くからです。
ふくらはぎは、「第二の心臓」と呼ばれます。ふくらはぎの筋肉が良く伸び縮みすると、下肢の筋肉がポンプとなって血液を心臓へ押し上げてくれます。
③趣味をする。好きなことをしているときは、リラックスしているので副交感神経が働いています。
副交感神経は、血管を緩く開いてくれますので、血圧が安定します。また副交感神経は、胃腸の消化活動も安定させます。
④熟睡する。これもリラックス効果と体力回復ですね
⑤仕事を「ねばならない」でやらない。仕事では、会社とか上司からのノルマ、タスクが課せられてしまいます。
するとほとんどの方は、「ねばならない」心理状態で、仕事をやります。これが、上とは逆に交感神経を活発にして血圧を上昇させます。
こんな方は、「頑張りすぎない」をちょっと入れるだけでも、とてもよい効果が生まれます!
まとめ
自動血圧計は、センサーで血流を測定しています。血圧がやや高めの人では、バンドの中の風船がぎゅうぎゅうと腕を締め上げてきます。
すると血管への刺激が強くなり、血圧は一時的に上がってしまいます。簡単に15以上も高くなる人がいます。
これを繰り返しても意味がありません。自覚症状がなければ慌てる必要はなく、ご自分でできる上記のような対策をやりつつ、聴診器での血圧測定をされるドクターに相談して下さい。
今回は以上です。