便秘気味なひと
長く座って仕事をするひと
重い物を抱える仕事のひと
香辛料をよく食べるひと
アルコールが大好きなひと
目次
- 排便後、トイレを見たら、「わっ、真っ赤!」
- 出血の原因は大きく分けて2つ!
- トイレの水にではなく、便に血液がついていたら
- 受診時、ドクターとの「話の仕方」
- まとめ
目次
1. 排便後、トイレを見たら、「わっ、真っ赤!」
こんなことが起こります。ふつうにうんちをして、拭き上げて立ち上がってトイレを見たら、「わっ!血だ!」と言う場面です。この場合は、座っている間に、ポタポタと肛門から血液が出て、トイレの「たまり水に広がった状態」で見つかるパターンです。落ちた血液は、水面でアッという間に全体に広がって行きます。ぱっと見た時の衝撃は相当なものでしょう。
うんちをしたあと、多くのひとは、ウォシュレットをしますね。「ウォシュレットをする」が、日本語の動詞として通用する時代になりました(笑) オリンピックなどで初来日した外人さんが驚くのは、日本のトイレだそうです。便座の保温、ふたの自動開閉、それにウォシュレット機能、ビデ機能、自動洗浄などの構造は確かにすばらしいものです。ウォシュレットは、使い心地の良さだけでなく、肛門の病気を軽減することにも、大きな役割を果たしています。普及に伴って、痔の手術件数が減少しています。
ウォシュレットのあと、乾燥エアーを当てるというより、トイレットペーパーで水滴を拭き取るひとが多いと思います。このトイレットペーパーに血液が付着することがあります。これを見たひとも、またびっくりしてしまいます。そんな時、慌てて便器内をのぞき込むと、血しぶきのように、小さな血液滴が便器の淵に飛び散っていたりするのです。
2. 出血の原因は大きく分けて2つ!
トイレで出血が見られるとき、出血はどこからか?が心配になりますよね。出血の原因の一つは、おしりの肛門の粘膜です。排便の時、肛門が大きく開こうとすると、肛門内側の粘膜がピシッと1mmほど裂けてしまうことがあるのです。もう一つは、それより奥の大腸の部分からの出血となります。どちらか一方だけだと判ると良いのですが、どちらもある場合が、診断的に困難となり、内視鏡検査を必要とするのです。
この場合、一番やっかいなのが、「オレは昔から痔(じ:肛門粘膜の血管がうっ血、充血してイチゴの様に腫れ上がる状態)があるから、それだろ!」と自己判断している場合です。内視鏡検査をしてみたら、痔と肛門奥の大腸に「大腸がんがあった」と言う不幸なこともあり得るのです。
3. トイレの水にではなく、便に血液がついていたら
肛門に病変があるときも、便に血液がつくことがありますが、その時は、スジの様な線状の血液が付着します。肛門より奥の大腸から出血する場合は、便に、ペンキで塗ったような血便が出ることが多いです。
さて、では、本題です。こんな便を発見したり、前述のような真っ赤な便器や、トイレットペーパーに血液が付着したら、トイレットペーパーは便器の淵に置いて、すぐさま、「スマホで写真を撮る!」と覚えておいて下さい。これが今回、一番重要なポイントです。怖くなり、慌てて水を流してしまう人が多いのです。流してから、「きのうトマトを食べたから」とか、「スイカを食べたから」などの言い訳を考え出します。これらは、消化上まったく関係ないことが多いです。
立ち上がると自動的に水が流れてしまうトイレでは、仕方ありませんので、座ったまま脚の間から撮って下さい。そんな!トイレや便を写すのは恥ずかしい!「はい、もちろんそうだ」と思います。しかし、私プロからしたら、これがとても情報量の多い写真なのです。写真を見ただけで、かなりの精度で、診断が見えてしまいます。
「おい!そもそも、スマホなんてトイレに持ち込まないよ」これも一理ありですね。そんな方は、初回の出血は見送って流して良いです。病変が生じているのなら、必ず、また後日、出血が出ます。しばらくは、トイレ近くにスマホを準備なさっておくと良いと思います。
4. 受診時、ドクターとの「話の仕方」
写真を撮ったらどうするの? 答えは、しばらく様子を見ていて大丈夫です。出血が出たと、家人に話すと、みんな口をそろえて「病院へ行け!コール」が始まります。特に奥さんは、ご主人が倒れたら住宅ローンが大変なので、とてもつよく受診を勧めますね(笑)だけど、慌てない慌てない。
しばらく様子を見ても大丈夫です。但し、但し(ただし)です。様子を見るのに大切な条件を言います。それは、出血後しばらくは出血が、見られないことです。その間、出血するに至った経緯をしっかり思い出し、生活を正してみて下さい。便秘がひどいのなら、便秘解消に向けて、お酒が多かったのならお酒を、香辛料が多かったのなら、それを減らす工夫をすることです。座りっぱなし(骨盤腔に充血→肛門の充血)や、バイクツーリングなど、関連することが沢山あります。生活習慣を正しくし、次の排便を見ましょう。それでも、出血が「ちょくちょく」あるのなら、何回か撮影したスマホを持って受診して下さい。
昔は、赤ちゃんがおかしな便をしたら、(真っ白いうんちをすることもあるのですよ)、おむつを袋に入れて持参し、目の前で広げるお母さんもいました。これには閉口(へいこう)していました。今は、スマホ写真で済むのです。感染症予防の観点からも、スマホ写真はとてもいいのです。
最後に、受診した時、ドクターへの「話し方サンプル」を書いておきます。
「先生、実は昨夜、トイレで出血しました。普段、出血はないので、びっくりしました。口で説明するより、写真をお見せしたがいいと思い、スマホ写真を撮ったのです。トイレをお見せするのはとても恥ずかしいし、先生に失礼かと思うのですが、良かったら見ていただけないでしょうか?」これで嫌がるドクターは、まずいません。むしろ、ドクターに的確な情報が伝わり、治療や検査が順調に進みます。受診前に何回か、この口上(こうじょう)を練習しておいて下さい(笑)
5. まとめ
トイレでの出血に、焦点を当てて説明しました。スマホ写真の有効性を、おわかり頂けたでしょうか?スマホ写真は、他にも応用が沢山あります。例えば、蕁麻疹です。かゆくて一睡も出来ない夜を過ごして、慌てて病院へ駆けつけた時は、すでに消えかかっていた、なんてこともあります。こんな時も「max状態の写真」を撮っておいて下さいね。これが病院の上手なかかり方なのです。